お願いをされた時のビジネス英語での丁寧な断り方を教えて下さい。

お礼から始めて、以下の5つのステップを踏むと、気持の負担が少なくお断りができます

1. お礼から始める

意外なことに、相手の期待に反して、お断りするときの返信は「お礼から」始めます。これから相手にとって心地よくないことを伝える前段階として、相手の気持ちをほぐすためです。

私がまだバイリンガルセクレタリーをしていたころは、とんでもないリクエストのメールを受け取ることがありました。

「1月の3日に研究グループメンバーで日本を訪れたい。クリスマスシーズンも明けて状況が落ち着いたから。ついては関係部署の人たちとも交流の場を持ちたい」

難しい依頼をメールで断る

日本人にとっては、お正月に海外から仕事の関係者が来日とは、とんでもない依頼内容です。
今だったらさっさとお断りのメールを書けるのですが、当時は「無下に断って人間関係がうまく行かなくなったらどうしよう。。。」と悩んで英文メールの例文集と首っ引きでお返事を書いたものです。

さて、どうやったら失礼なく、人間関係にヒビを入れることなくお断りのメールを書けるかと言うと「お礼から始める」というワザがあります。
もちろん、これがたった一つの正解と言う訳ではありませんが、都合の悪い時期を外してもらいたいときには便利です。

先ほどのお正月三が日のうちに日本を訪問したい。というリクエストなら

「日本チームのことを考えてくれてありがとう。関係者たちも、それを知ったら皆さんを歓迎することでしょう。」
“Thank you for considering Japan team. I am sure the relative departments will be welcoming you as well. ”

これから「お断り」することになるけれど、その前に相手の気持をほぐすために、相手に対する感謝を伝えます。

英語でお礼をする際にやりがちな失礼>>

2. 相手の主張を一度受けとめる

返事を読む相手の気持がほぐれたところで、「あなたの考えていることは正確にこちらに伝わっていますよ」ということを伝えます。
こうすることで情報のやり取りはしっかりできている、と相手は更に安心します。相手が書いてきたことをそのままオウム返しでよいのです。

「あなたのチームが1月3日から私たちを訪問したいということですね。」
“I understand that your team would like to visit us January 3rd onwards.”

3. クッション言葉の後に「お断り」をきっぱり伝える

通常、英語のコミュニケーションのテキストには「英語は結論から」と書いてあります。
それは日ごろのやり取りでは正しいのです。
でもお断りの時は相手にとって嬉しくないメッセージを伝えるので、相手が気分を害さないような気配りが必要なのは日本語と同じです。
そのために結論の前にクッション言葉を使います。

「残念ながら、1月初旬は訪問にはベストなタイミングではありません。」
“Unfortunately, early January is not the best timing to do so.”

ここではUnfortunately 「残念ながら」というクッション言葉を使いました。クッション言葉はほかにも
”I regret to tell you that”
などでもいいでしょう。

「申し上げにくいのですが…」
”I regret to tell you that…”

これも使いやすいですね。
そのあとにズバリ「ベストなタイミングではない」と伝えます。
ここで

「私たちにはできません。」
”We cannot do so.”

にしてしまうと印象が悪いです。なぜならcannotには主観的なニュアンスがあるからです。
大げさに言うと「できな~い!」という感じです。
さらに

「不可能です。」
”It’s impossible.”

というのも印象が悪いです。
客観的な事実を伝えるので文法的に間違いではありませんが、個人的には拒絶感が強くて私なら使うのをためらいます
代わりに時期のせいにして「タイミングがベストでない」と伝えれば、相手は「ではいいのはいつだろう?」と代案に興味を持つことでしょう。

4. お断りの理由を伝える

相手の気持がリクエストから離れて聞く耳をもったところで、お断りの理由を伝えましょう。
例えば

日本人にとってはお正月休みは大切な季節です。ほとんどの人が家族と過ごしたり古い友人と会ったりします。ちょうどあなた方がクリスマスシーズンにするように。」
”New year’s holiday is an important season for Japanese people. Most of people stay with their families,
seeing old friends like you do during Christmas season.”

どうでしょう。この例えなら、キリスト教文化圏の人にはピンと来ますよね。
先方が「なるほど、そうなのか」と納得してくれたところで、今度は代案とそれをすることによる相手のメリットになることを伝えます。

お断りしたままだと相手は「あ、そうなの」とNoということは伝わっても、どうしたら日本に来られるかという情報がありません。

5. 代案と相手にとってのメリットを伝える

代わりに、1月中旬以降を提案して、そうすることによる相手のメリットを伝えます。
メリットを伝えると相手の心が嬉しいほうに動くので、こちらの提案を受け入れやすくなります。

「代わりに、1月中旬はいかがですか?こちらも仕事が普段のペースにもどって皆さんと充分な時間を過ごせます昼間の会議が終ったら美味しい和食をご一緒できるでしょう。」
”Instead, how about mid-January? Our side comes back to normal work pace to spend enough time with your team.
Maybe we can enjoy nice Washoku after the meetings during the daytime.

この例では、1月中旬という「代案」を伝えてから「時間が充分取れる」「会議の後は美味しい和食を食べましょう」という相手にとってのメリットを提案しています。

英語はロジカルな言語とは言われますが、結論→理由だけだと理解はしてもらえても、相手の心を動かせないこともあります。
「頭ではわかるけど、気持がイラっとする」という気持ちを持たせないように、相手の感情への配慮が出来れば、お願いごとのお断りも気が重くならずにできます。

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押し売りはしませんので安心してご利用ください。

この記事を書いた人

仕事の英語パーソナルトレーナー
河野 木綿子(こうの ゆうこ)

ロンドン大学 Goldsmiths College 2000年
心理学部 大学院卒業
東京都青梅市出身

スピーキング初心者歓迎!生徒さん募集中です。まずはご連絡ください。
TOEICテストでおおむね600点代~800点代で英語が話せない人が、英語で仕事ができるようになるお手伝いをしています。

ひとりでも多くの日本人ビジネスパーソンが英語でも日本語の時と同じように活躍できるようになって欲しいです。

25年間大手外資系企業の人事部に勤めた人材開発の専門家。その経験とロンドン大学大学院で学んだ学習理論と効果測定を活かし、日本で第1号となる仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業しました。
著名人含む約90名を、仕事の英語デビューに導いてきた実績があります。

【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.5 (1998)
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格

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【著書】
『仕事の英語 いますぐ話すためのアクション123』
『読むだけでTOEIC®テストのスコアが200点上がる本』

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