外資系に転職の際、英語面接があります。転職理由について注意点はありますか?

転職の英語面接では不満や悪口などネガティブな理由は厳禁。ポジティブに言換える回答例を10個ご紹介します。

「転職理由」には、もっと活躍したいとか、今よりレベルの高い仕事がしたいといったポジティブなものもあります。
でも実際は「今の仕事が辛いので逃げられればどこでもいい」といった面接官からたらネガティブなものも少なくありません。
そして面接官は、その痛いところを突いて、あなたの人柄、仕事に対する姿勢を見抜こうとします。

この記事ではネガティブな転職理由であるとしても、面接官に「なるほど、過去にいろいろあっても、これからは活躍してもらえそうだ」「この人と仕事をしてみたい」と思ってもらえるような回答のコツを、実際に使える例文を上げながらお伝えします。

あらゆる質問に答えるときの大原則

面接では回答の内容とともに、回答の話の構成も審査されています。
話し方のスキルとして、更にあなたがロジカルな思考ができるかどうか、面接官はここを重視しています。それは;

答えるときは質問に対する回答から答える。説明はそのあとで

転職活動に至った背景にはいろいろな事情や思いがあることと思います。
それでも話始めはYes, Noであり、背景説明はあとから話すというパターンを口に出して練習しておきましょう。
そうしないと面接官からは「ロジカルな思考、話し方ができない、話の長い人」というマイナス評価を受けることでしょう。

転職理由を聞かれた時の回答の「伝え方」は「ポジティブ一択」

初めに結論をお伝えしますと、転職理由を聞かれた時の回答の伝え方は「ポジティブ一択」です。
とはいえ人生には思わぬ不幸が降りかかることがあります。
転職したら仕事の環境が事前に聞いていたのと違う。同僚と人間関係がうまくいかない。上司とは相性が悪くパワハラに遭っている。努力次第で解決できる問題ならよいのですが自分ではどうにもできないとなったとき、多くの人は転職を考えることでしょう。

ただし、そういった不幸を転職の動機として語ることは避けましょう。会社、上司、同僚のネガティブな話をする人は、面接官から見たら「この人は当社に入社しても周りへの不満を他所で語る不満分子になりそう」「今のような状況になったのは、本人にも問題があるのでは?」と推測するかもしれません。

回答の仕方を工夫することで、苦境を脱出して明るい未来を迎えるために面接に臨む、あなたの前向きな態度が伝わる転職理由の伝え方の実例を10個取り上げます。

実際の転職理由とポジティブな言い換え方の実例 10例

1. 今の職場の人間関係が悪くているのが辛い

前向きな表現: 
チームワークと協力を重視する環境を探しています。周囲と成功を収めるために一緒に働くことが生み出すパワーを信じています。
I’m seeking an environment where teamwork and collaboration are valued.
I believe in the power of working together to achieve success.


<解説>
実は人間関係は職場のメンタルヘルスを左右する主要条件の一つとして統計データにも表れています。
ただし人間関係が原因とは言え「人間関係の悪さ」だけを上げるより、自分の理想像、仕事をする上での信条を伝えることで、状況を好転させて良い仕事をしたいというあなたの前向きな試みが面接官に伝わります。


2.今の会社の給料水準が低く、実績を上げても給与に反映されないので成果に報いてくれる会社に移りたい

前向きな表現: 
自分のスキルと貢献をはっきりと認めて、報いてくれる職場を探しています。
I’m looking for an opportunity that recognizes and rewards my skills and contributions more effectively.


<解説>
同じ仕事をしていて、成果を上げても会社の給与水準が同業他社平均より低い場合があります。
業界水準より明らかに給与が安かったり、成果が報酬につながらないのはだれでも不満を感じることでしょう。
「成果と報酬がはっきり結び付いた組織で働きたい」と主張することで働いて成果を上げて認められたいという意欲が感じられます。


3.上位の役職が上の世代で埋まっていて離職率も低いため昇進のチャンスがない

前向きな表現:
今まで仕事の経験を通じて成長し続けてきました。いまよりも新たな挑戦の機会の多い企業に加わりたいと考えています。
I’ve been developing my career through business experiences.

Now, I’m eager to join a company where I can grow professionally and take on new challenges.

<解説>
日本企業、外資系企業を問わず、退職率が低く人が入れ替わらない、その結果若い世代が上のポジションにつくチャンスが少ない企業もあります。
仕事をしながら自己啓発を怠らず、上を目指す人にとっては物足りないことでしょう。

挑戦の機会を求めて新天地に打って出ることは、自分の人生の幅を広ようとする前向きな取り組みです。
ここでは「挑戦し続けたい」という熱い思いを前面に打ち出すことが大きな加点になります。


4.仕事の内容がルーティン業務ばかりで新しい挑戦がなく、自分の成長が感じられない

前向きな表現:
より多様でダイナミックな責任を持つ役割に興味があります。
ルーティン的な業務も日々のビジネスをまわすために大切なことは理解していますが、常に変化に対応することで会社の発展とプロフェッショナルとしての自分の成長を感じたいです。
I’m interested in a role that offers more varied and dynamic responsibilities.
Although I understand that routine tasks are important for the daily operations of a business,
I am eager to embrace change as it allows me to contribute to the company’s development and my personal growth as a business professional.


<解説>
せっかく自分にやる気があって、自分の実力よりストレッチが必要な業務を担当して成長したいと思っていても業務内容がルーティンワークばかりだと先行きに不安を感じることでしょう。
英語面接であれば、現状を嘆くよりも「自分はこうありたい」というアピールを言葉で伝えましょう。その際大切なことは自分の成長を第一位置くと自己中心的な候補者に聞こえますので、まずは会社のビジネスの発展を願うこと、そして自分も成長したいという順番で話すことです。


5. 上司の管理スタイルがマイクロマネジメントで、信頼して仕事を任せてくれないので、成長の機会が限られてしまう

前向きな表現:
部下に権限移譲をして様々な体験を通して能力を伸ばすような企業文化のある職場で働きたいと思います。
I am interested in working at a place that encourages giving responsibilities to team members,
allowing them to grow and learn from different experiences.

<解説>
企業文化や上司の個性によっては細かいことまであらかじめ与えた指示通りに仕事をすることをよしとする場合があります。
それが心地よく安心して仕事ができると感じる人もいますが、自ら考えて判断の上行動したい人もいることでしょう。むしろ、そういう人のほうが多くの外資系企業での仕事に向いていますので、仕事に対するOwnershipをもって取り組みたいというアピールは有効です。

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6. 昔ながらの、私生活より仕事優先をよしとする企業文化で、プライベートの時間が取りにくい

前向きな表現:
仕事と私生活のバランスを大切にして、個人的な時間を尊重しつつ、仕事にも集中して取組むことができる環境を求めています。
個人の生活が充実しているほうが、安心して仕事にも前向きに取り組めるからです。
I value a work environment that respects work-life balance.
It’s important to have personal time while being dedicated to work.
A fulfilling personal life leads to a more positive and focused work approach.


<解説>
転職先の企業文化はさまざまです。近頃は伝統的な日本企業のモーレツ社員が求められることはだいぶ少なくなり、表向きはワークライフバランスを重視している会社が多いですが、実際は入社してみないと、さらには自分の所属組織によっても異なることがあります。
もしもあなたが今の職場を離れるのがワークライフバランスの悪さが原因ならば、正直に例文のように口にされたほうが良いと思います。
そうしないと、せっかくリスクを取って転職しても同じことになる可能性が高いからです。


7.会社の目指す方向性が社員にとって漠然としていて、将来に不安がある

前向きな表現:
明確な将来のビジョンと強い成長ポテンシャルを持つ会社を探しています。
I am looking for a company with a clear vision for the future and strong growth potential.


<解説>
仕事をしていて会社の方向性が社員に共有されていない、会社がこれからどうなるのか見えないとしたら不安になることでしょう。
このような「前向きな表現」が出てきてもおかしくありません。

ただし、「強い成長ポテンシャル」という言葉を口にする限りは以下、2点をクリアにして英語で簡潔に説明できるように準備をしておきましょう。
①どんな成長ポテンシャルを期待しているのか
②応募先企業の競合他社に比べた強みは何か


8.コンピューターシステム、データ管理システムなど社内の技術や設備が古く、改善意識も低いため仕事が非効率

前向きな表現:
御社の先進的な技術や現代的なインフラストラクチャを使用することになるかと思うと、ワクワクしています。
I’m excited about the prospect of working with more advanced technologies and modern infrastructure if I could join your team.


<解説>
ごく最近、私の知り合いからまさにこのような話を聞きました。
その方はITのベテランマネージャーです。希望をもって転職したところ、インフラが古いために解決できず保留になっている案件が一気に押し寄せてきた。会社全体がインフラを入れ替えない限りもどうにもなりそうもないので、再度転職を考えているとのこと。

あなたの前向きな表現を聞いた面接官は、今はどんな課題を抱えているのか?と質問してくる可能性が高いので、感情的な表現は避けて客観的に現状を説明しましょう。また応募先に採用された場合は、こんな風に御社に貢献できそうです。という自分を採用すると先方の利点になることを伝えましょう。


9.自分の専門性やスキルをほとんど生かせていないし、これからも機会がなさそう

前向きな表現:
自分の専門知識とスキルを今よりも活用し、会社にも自分にも利益をもたらすことができるポジションで仕事をしたいと考えています。
I am seeking a position where I can fully utilize my expertise and skills for mutual benefit and growth.

<解説>
自分の専門性を生かす機会がないというのは確かに一度きりの人生の時間や努力がもったいないですね。
ただし研究者でもない限り組織での自分の職務すべてが専門分野というポジションはほとんどないことでしょう。組織の機能を保つためには自分の意にそぐわない仕事もこなす必要があります。
とはいえ、現状で全く機会がなく、将来的にも気概が持てないなら、環境を変えるのが賢明な判断だと思います。
その場合、自分の専門分野がどんなことに生かせるか、強みは何かを具体的に説明できる準備をしておくことをお勧めします。


10. 会社の文化や価値観に合わない、合わせるのは苦痛

前向きな表現:
自分の個人的な価値観や労働倫理にあった企業文化のなかで仕事をしたいと考えています。
I’m looking for a corporate culture that aligns more closely with my personal values and work ethic.

<解説>
会社の方針が自分の価値観に合わなくなった、労働倫理に反する就業環境になってしまったということはあり得ることですね。
ですので、この回答をする際には以下のことについても答える準備をしましょう。
・ 自分の価値観と今の職場環境の何が合わないか具体的に伝えましょう。
  例:自分は日々接している顧客目線に立ったサービスを提供したい。でも現状は顧客の希望や改善提案を本国に挙げても取り上げられない。
  例:仕事も家族も大切にしたいと思っている。でも休日の出張先への移動が恒常化していて、代休も認められない。

話し始めで熱意を伝えられるヒント

質問に答えるとき、話し方に工夫するとより前向きな表現になります。
話始めに使いがちな 

”I think …”  以外の、思い入れや信念を伝える動詞を使いましょう。

I’m interested in ~
I am eager to ~
I’m convinced that
I believe that
I’m looking for the opportunity to
I’m seeking ~

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「外資系の採用は準備が必須の構造面接と深層背景面接」

仕事の英語パーソナルトレーナー
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この記事を書いた人

仕事の英語パーソナルトレーナー
HR Specialist
河野 木綿子(こうの ゆうこ)

ロンドン大学 Goldsmiths College 2000年
心理学部 大学院卒業

テストの高得点者が話せるようになるお手伝いをしています。
25年間大手外資系企業の人事部に勤め、人材開発の専門家となる。その経験とロンドン大学大学院で学んだ学習理論と効果測定を活かし、日本で第1号となる仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業。
著名人含む約90名を、仕事の英語デビューに導いてきた実績を持つ。

【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.5 ※旧英連邦の英語4スキルテスト
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格

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