会議での英語が聞き取れないのですが、どうやってリスニング力を上げればいいのでしょうか?

聞き取れない原因を特定すれば克服法があります。あなたはどれに当てはまりそうですか?

実は英語の会議で英語が聞き取れない悩みは多い

1.単語レベルで聞き取れず、言葉に聞こえない

自分の英語の発音が本当の英語の発音と大きく違うと同じ単語と認識できないので聞き取れません


これが原因で英語が単語レベルで聞き取れない人は「英語の発音はスペルのアルファベット通りに発音するもの」という思いにとらわれていないでしょうか?
実は英語の発音は文字と同じではありません。文字に引っ張られず、聞こえる音をまねするという意識で発音練習に取り組みましょう。


1)英語の発音が日本語の発音と違うとこを意識してみましょう。

1)一文をひと息、一続きで言うこと
  英語のニュースのアナウンサーがニュースを読み上げるのを聞いていると、途中で息継ぎをせずに一文を一気に読んでいます。
  「途中で息切れしないのかな?」と心配になるほどです。

2)一拍に一音節乗せること

日本語の発音は一拍に1母音が乗ります。
「お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す」9拍
のように、いち音いち音、声が途切れます。

これに対して英語の発音は一拍に1音節が乗りますが声は途中で途切れず、一続きで発音します。
“Good morn-ing” 3拍

3)アクセントと下降調でリズムを作ること

日本語は英語に比べると音の上がり下がりが少なく、単語も文章も平たんな音が多いようです。

例えば:
➡➡➡➡➡➡➡➡➡
おはようございます。

ですが、
一方で英語は
↘      ↘
Good morning.
赤字が強いところ、そのあと音が下がる。

音のことを文字だけで説明するのはなかなか難しい💦ですが、大まかなことだけでこれだけの違いがあります。
したがって英語は話すときの発音が文字と違うこと、、音の上がり下がりが日本語と全く違うことを踏まえて

聞こえる通りにマネする

覚悟をして練習しましょう。

そのための練習法を簡単に説明した後で、「これ、いいかも」と私も実際生徒さんに使っていただいている教材を以下、ご紹介します。

以下、ご紹介する練習法はスクリプトのある音源を使って、文字を追いながら音源に忠実に音読練習をすることであなたの発音を劇的に改善できます。
「文字を追いながら」する理由は、リスニングが不得意だという方は、耳だけでは聞き取れないからです。
文字を目で追いながら耳で音を確認すると、文字イコール発音でないことが実感できます。

2)文章中の単語に起こる音の「短縮、連結、脱落、同化、弱形、連携」に気づき、自分でも再現できるように練習します。

この練習法は『コミュニケーション術』の『初めて話す英語』中級・中上級で丁寧に練習できます。
自分一人で練習するのはできるようになるか心配!という方はレッスン内容をご覧ください。


日本語の50音より多い英語の複雑な音を、たった25文字で全て表すことは到底無理があります。
文字に影響されることなく、聞こえる通りに発音するのは最初は勇気が要りますが、

単語レベル → チャンク(ひと固まり)→ 単文レベル → 1段落ずつ

の順で「短縮、連結、脱落、同化、弱形、連携」を自分で発話できるように練習しましょう。

参考『英語リスニングのお医者さん』西蔭浩子 改訂新版 

3)洋楽好きなら実際に声に出して歌う練習をするのも有効な方法

発音の改善方法として、もしあなたが洋楽好きなら歌詞のある曲を一曲完全コピーして歌えるようになるという方法も「短縮、連結、脱落、同化、弱形、連携」を自然に身に付けるのに効果的です。

たいていの歌はテンポが速くなった時「短縮、連結、脱落、同化、弱形、連携」をしないとついていけなくなるので、そうせざるを得なくなるからです。

理由は1音節にたくさんの言葉を乗せるために、たくさんの「短縮、連結、脱落、同化、弱形、連携」が盛り込まれています。
机に向かう勉強と違って歌詞カードを見ながら楽しみながら練習できるので、勉強に疲れたときの気分転換としてもお勧めで

ちなみに多くの英語講師がお勧めしているのがカーペンターズの『Yesterday Once More』です。
カレン・カーペンターの美しい声と、アメリカ英語としては珍しいレベルで子音を丁寧に発音しているので聞き取りやすく、苦にならずマネしやすいことでしょう。

私自身のお勧めは自分自身の実体験でビートルズです。
テンポが比較的ゆっくりな『Hey, Jude』や、曲の始まりから「短縮、連結、脱落、同化、弱形、連携」が豊富に盛り込まれた名曲『Let it be』は始めやすいと思います。

ちなみに『Let it be』の歌いだしはアルファベットでは

When I find myself in time of trouble, Mother Mary comes to me

ですが、実際の発音はあえてカタカナで書くと

ウェナイファインマイセルフィン タイモブトゥラボー、マザメーリ カムストゥミ

2.動詞や名詞など内容語のボキャブラリーが足りない

英語の品詞には文章の意味を左右する内容語と機能語を繋いだり位置関係を表すだけの機能語があります。

内容語とは名詞、動詞、その二つを修飾する形容詞と副詞のことです。
英語の意味を理解するのに欠かせない内容語(名詞、動詞、形容詞、副詞)の絶対数が足りなければ音は聞き取れても意味がわかりません。
これは自分が初めて聞く話や、専門分野でない会議に準備なし、資料ナシで出たときに起きやすいですね。

解決法: ボキャブラリーを増やす

この場合「聞き取れない」のではなく「知らない」ので、地味ですがその分野の単語を一つずつ、発音、意味、用法を調べて発話練習してください。

辞書は必ず自分で引きましょう

by 河野木綿子

ここで声を大にしてお伝えしたいのが、単語を調べるときは必ず自分で辞書を引くことです。
単語集に赤い半透明の板を張り付けて、単語を目で追って意味が分かるだけでは決して自分で文章を話すときに使えるようにはなりません。

辞書を引いて、発音、アクセントの位置、品詞、使い方(動詞なら他動詞・自動詞の別と自動詞の後に来る前置詞)、さらにどういう単語と相性がいいかのコロケーション
押さえましょう。(*コロケーションとは、その単語とセットで使われる単語です)

例えば presentation という単語なら「プレゼンテーションをする」の「する」は英語だとどういう動詞を使うのか?Doでは不自然なので早速ご自分で調べてみましょう。
そして辞書を調べたら、リスニング力を上げるために必ずして欲しいのが「発話練習」です。「言えないことは聞き取れない」という説もあるくらいですから
その単語を自然なスピードで口が動いて発話できるまで口に馴染ませるようにしましょう。

3.英語の順番のまま意味が記憶に残らないこと

受検勉強のクセが抜けず、英語の文章を文章のお尻から訳してきませんでしたか?
そうなると自然な話すスピードでながれていく会話にはついて行くことが出来ませんし、音は聞き取れても、意味が頭に残りません。

日本語と英語はさまざまな角度から比較した時に、世界中の言語の中でいちばん距離が遠いと言われています。
その要素の中でも文章の構造(構文)は真逆と言ってもいいでしょう。
英語が文章の頭のほうで大まかな結論を伝えるのに対して、日本語は最後に結論を伝える構造になっています。

解決法その1:スラッシュリーディング

英語の文章を英語の単語の順番のまま理解する練習をしましょう。それができるようになるには、英文を数語のからなる意味の固まりのまま、ひとつひとつ意味を頭に残していく練習をします。これをスラッシュリーディングといいます。

例: I went the party at a friend of mine’s last night.
   私は行った/そのパーティに/一人の友人の家で/昨夜/

この例文の4つの意味の固まりを英語の順番のまま、左から頭の中に入れる練習です。
決して試験問題を解くように後ろから訳してはいけません。読む英語、聞く英語は後戻りはできないので、そのままの順番で固まりを一つずつ頭に入れていくのです。

参考:『毎日の英速読』James M. Vardaman, 神崎正哉


解決法その2: 英語のニュースを聞く

よく洋画を字幕なして楽しめるようになりたいという方がいらっしゃいます。そのお気持はとてもよくわかります。
映画館で観ていて、字幕を見ている人と、自分で英語が聞き取れている人は、笑う場面が違ったりもして、小さな優越感を感じたりもします。

但し私はリスニング力を伸ばすには映画より、英語ニュースをお勧めします。
理由は映画は効果音がリスニングの邪魔をすること、感情的な表現が多く聴き取りにくいからです。また英語のニュースの場合、同じニュースを日本語のニュースで知っていると英語版を聴いていても「たぶんこういうことを言っているのかな」と推測ができるので絶望感がありません。

その「たぶん。。。」のレベルがある日「あ。ほんとに聞き取れた!」となったときの満足感は是非味わってみて欲しいです。

リスニング力を最短で伸ばしたい!と思われた方に短時間で効果が出る学習方法があります。英語のスキルは時間のかかるものが多いですが、これは例外です。
この記事でご紹介したリスニング力を鍛えるトレーニングはメニューは『ビジネスコミュニケーション術』コースに組込まれています。詳細はリンク先からご覧ください。

【関連記事】 発音より文法と単語の基礎固めから始める方がいいですよね?

この記事を書いた人

仕事の英語パーソナルトレーナー
HR Specialist
河野 木綿子(こうの ゆうこ)

ロンドン大学 Goldsmiths College 2000年
心理学部 大学院卒業

テストの高得点者が話せるようになるお手伝いをしています。
25年間大手外資系企業の人事部に勤め、人材開発の専門家となる。その経験とロンドン大学大学院で学んだ学習理論と効果測定を活かし、日本で第1号となる仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業。
著名人含む約90名を、仕事の英語デビューに導いてきた実績を持つ。

【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.5 ※旧英連邦の英語4スキルテスト
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格

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