シャドーイングでスピーキング力が伸びるのは、ゆっくりでも英語が話せるレベルの人です
初めからがっかりさせるような回答でごめんなさい。じつは私のところにも「シャドーイングをやって効果がありませんでした」というかたがいらしたことがあります。
どうして「ゆっくりでも英語が話せるレベルの人」なのかというと、シャドーイングは本来、同時通訳者になるためのトレーニング中のかたの、瞬発力を伸ばすための練習法だからです。
瞬発力を伸ばすということは、元々の基礎力がないとできません。
話すための基礎力とは単語が聞取れるリスニング力、それを自分でも発話できる、でもスピードやトーンはまだ流ちょうとは言えないというレベルです。自分が着いていける速度の音源から始めれば、少しずつできるようになるでしょう。
シャドーイングとはどういう練習法ですか?
シャドーイングとは、音源を再生しながら、一瞬だけ遅れて全く同じ内容を発話することです。初めは1文ずつ、慣れてきたら文章の固まりを復唱します。
元々は同時通訳者になるためのトレーニングと書きましたが、同時通訳者の方は話し手と同じスピードで話すことが必須なので、初めは意味が取れなくてもいいから速さについていくことを目指すそうです。
この「意味が取れなくてもいいから音だけ再現する」という時点で、まだ英語が話せない人は、単語がマネできるレベルで聞取り切れない、口の動きが付いていけなくなる、ムリしてでたらめな発話をすると、発音が悪くなるという弊害まで出てきます。
実は私もシャドーイングをすることがあります。英語を話すのは、自分の考えを話すのであれば日本ごとほぼ同じペースで話せます。ところがシャドーイングとなると2,3分が限界です。音源のネイティブスピーカーの方の話すスピードについていけません。それは私自身が日本語で話す時も割とゆっくりであることも一因かと思います。
ちょっとわき道にそれますが、初めて英語で仕事をするようになったころ職場のベテランの職員から聞いたのは「バイリンガルになった日本人は、日本語が早口だと英語も早口だし、逆も真なり」と経験に基づいて話していました。
同時通訳者で現在はシリコンバレーでコンサルタントをされている関谷英里子さんが、ご自身の経験としてシャドーイングについて取り上げている書籍の説明が詳しくてわかりやすいので、こちらにリンクを貼っておきます。
ご興味がある方はお読みになってみてください。
『同時通訳者の頭の中』関谷英里子
祥伝社黄金文庫

