ジョブ型採用の職場で仕事を頼むときは丁寧に、細部まではっきりと、締切り付きで

ジョブ型では直接同僚に手伝いを頼むことは少ない

近ごろ日本企業でもジョブ型雇用という言葉をよく耳にするようになりました。ジョブ型雇用では、勤務地や就業時間、そしてひとりひとりの仕事の範囲や責任がはっきりしています。英語圏の企業では私が社会人になる前から(そうとう昔から)そうだったようです。

そのため、誰かの仕事が忙しくても、本人が気軽に近くにいる人に気軽に「手伝って!」と声を掛けるようなことはあまりせん。手が足りない時は、上司を通して正式にお手伝いをお願いします。なぜならそのお手伝いはボランティアではなくて「仕事」だからです。自分の就業時間を使ってスキルや知識を使うからです。

私自身も採用と人材開発の兼任をしていた時、同じレベルの部門人事のマネージャー(Business Partner: BP)とは協力しあうことはあっても、頼まれる、手を貸すという仕事の仕方はしていませんでした。

とはいえ、オンライン会議で海外の同僚に、スケジュールの変更やデータの送信を頼むことはありますよね。その際に押さえておきたいポイントについてお伝えしまします。

頼み方は丁寧に: 敬語的な英語表現

英語と言うと、カジュアルでフレンドリーというイメージがあるかもしれません。たしかに日ごろのやりとりはカジュアルでフレンドリーですが、ビジネスの場面では日本語の敬語に当たる丁寧な言い回しをします。

更に、文頭にPleaseを付ければ丁寧になると思いがちですが、実は
Please send me the data.

のように、Please +動詞 の言い回しには強制力があり、押しつけがましい感じなので避けましょう。今どきの「上から目線」という表現に当たります。

例えばデータを送って欲しいとき、お勧めの言葉遣いは

Could you please send me the data? あるいは
Would you please send me the data?

というように、Could you please? または Would you please? です。

上司に対してはもっと丁寧な言い方をしますので、それはまた別の機会にお話しします。

どうしてここで Could you? Would you? のようにCanとWill が過去形なのかというと、英語では時制がひとつ過去に戻ると、丁寧な表現になるという法則があるからです。

ご存知の方も多いと思いますが、この Could you とWould you には意味的に
微妙な使い分けがあります。

Could you? はできるかどうか可能性を客観的に聞いているので、頼まれた相手が負担感なく断ることができます。

一方 Would you ? は頼まれたことをする「意志」(やる気)を聞いているので、断るにはやや心理的なハードルが高くなります。「やってくれますよね?」というイメージだと断りにくいですよね?

締切りと重要度は頼む側のこちらから具体的にはっきりと伝える

以前、生徒さんから「アジアパシフィックの偉い方にお願いするときに、頼んでおいて、締切りを言い出すのに抵抗感がある」というお悩みを聞いたことがあります。
日本人の感覚だと、偉い人にいつまでにして下さい、とはっきり言うのは言いにくいかもしれません。

ところが英語で仕事をしているマネージメントクラスの人達は、全く逆です。
緊急性と重要度で仕事の優先順位を付けるため、どれくらい急いでいるか、大事なことかがあいまいだと、優先順位をつけにくいので、はっきり伝えたほうが親切です。締切りの書いてないお願い事は、特にメールの場合、返事が来ないこともあるでしょう。

従って「何を、どのように、どれくらい、いつまでに」して欲しいと、重要度やその理由、締切りを伝えることをお勧めします。

最後に感謝を言葉で伝えるHelpとSupportの違い

そして最後に、感謝を言葉で伝えます。

このときに目上の人に対しては Thank you for your help.
水平関係と自分より組織上、下の人に対しては Thank you for your support.

と、Help とSupport を使い分けます。
Helpは上から手を差しのべること、Support は下から支えるという意味だからです。これを間違えてはいけませんね。

以前、ある企業の外国人役員の方が苦笑いしながら「日本人の部下からThank you for your supportというメールをもらった」と話してくれました。

また、締め切りまで時間がない仕事を頼むときは
Sorry for the short notice.
と、急がせることに対して申し訳ないという表現を付け足すことも忘れずに。

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この記事を書いた人

仕事の英語パーソナルトレーナー
HR Specialist
河野 木綿子(こうの ゆうこ)

ロンドン大学 Goldsmiths College 2000年
心理学部 大学院卒業

テストの高得点者が話せるようになるお手伝いをしています。
25年間大手外資系企業の人事部に勤め、人材開発の専門家となる。その経験とロンドン大学大学院で学んだ学習理論と効果測定を活かし、日本で第1号となる仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業。
著名人含む約90名を、仕事の英語デビューに導いてきた実績を持つ。

【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.5 ※旧英連邦の英語4スキルテスト
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格

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