AIが進化し続けたら英語学習は要らなくなるという誤解

この記事は「AIが進化したら英語学習は要らなくなる」と英語学習の手を抜こうとしている人に「いやいやそんなことないですよ!」と、待ったを掛けようとするものです。その理由もお読みください。

せっかくの要人パーティで会話に入れなかった

先週、会社経営者の方から直接聞いた話です。

あるヨーロッパ外資系自動車メーカーの日本支社トップの方のディナーに呼ばれたそうです。お呼ばれはもう5度目だそうで、かなり親しくなっている。

でも、今回は自分以外のお客様全員が、たまたまバイリンガルの方ばかり。美味しい料理とワインを楽しみながら皆で盛り上がったけれど、自分だけその会話に全く入れず、打ちのめされたと、落ち込んでいらっしゃいました。

んんんん~。その方の英語はリスニングはOKなのです。でも発話がまだ苦手です。みんなの会話が少しわかって相づちは打てても、自分から話題を提供できないもどかしさ。その悔しさは分かる気がします。私もアメリカの証券会社に入ったばかりのころと、留学先のネイティブばかりの中に入った時、初めはそうでした。

TOEICはピークアウトしつつあるのか?

このところTOEICの人気が一時期ほどでなくなってきたと大手のビジネス英語学校を経営している方から聞きました。また、別の機会に、英語教材専門出版社が主催するTOEIC講座が開講以来はじめての定員割れになったと関係者から聞きました。

SNS上でも、YouTubeやベストセラーで有名な英語講師の方々が生徒さんの募集の発信をしています。今までその方たちは生徒さんが空席待ちで、特に募集しなくても定員が集まっていたはずです。
でもこの春は「あと何人募集」の投稿が続いています。正直、私のところもそうです。

今まで、仕事に英語が必要で「なんとかしなければ」とマンツーマンで英語学習の指導をしてもらえる講師の方が定員割れ。

本日(2023年4月1日)、日本人の30%がオープンAIのChatGTPもしくはGPT4に登録されているそうです。AIの進化は日々メディアで取り上げられ、メガテックのCEOたちが、法整備が追い付いていないことに危機感を感じて、当面の間AI開発を差控える動きが出てきているほどです。

となると、ここからは私個人の推測ですが、Chat GPT, GPT4 とだれでも使えるAIの進化が目覚ましいので「これで英語をやらなくて済む」と期待している人が多いのではないでしょうか?

AIが発達すれば「自分の英語力は要らなくなる」の大きな誤解

もしAIの発達で「これで英語をやらなくて済む」と期待している人が居るとしたら、いやいや、それは大きな誤解です。

もちろん、AIに日本語で指示を出して英文メールを作ってもらうことは可能です。でも、出来上がった英文メールが自分の期待通りかどうか、チェックが必要です。仕事の場面ならなおさらのこと。だからチェックするための英語力が必要です。

相手との関係(上下とか親しいか?)、フォーマリティが正しいか確認も必要です。代わりに作業はしてもらえても仕上がりを確認せずに送信するのはあまりにも危険。

さらに冒頭でお伝えしたディナーの席の設定で、ひとりだけ画面を見せて翻訳を読んでもらうっていうのは、現実的でしょうか?
ではもしも、人工音声つきの翻訳アプリができても、自分の声じゃなくていいのでしょうか?

AIの開発はルールの整備を待ちましょうという動きも出てきました。ルールが伴わず、自由に開発発展していくと、犯罪行為が起きても統制ができない。

開発が再開して、進化が加速しても今の2つの課題;
・AIが正しく仕事をしてくれたか確認できるか?
・社交の場で、プレゼンの場で自分の代わりにAIに話してもらうのか?(自分の声で話さなくていいのか?)

プレゼンスライドに同時通訳表示はありかも しれませんがやっぱり、あなたの声であなたらしい
交流やプレゼンでないと相手の心は動かせません。

カリスマ英語講師の安河内哲也先生が中国出張にポケ〇〇〇というポケットサイズの翻訳機を持って行かれたとき、後日
「仕事はできても友達にはなれない」とおっしゃったのは講師仲間では有名な話です。

この記事を書いた人

仕事の英語パーソナルトレーナー
HR Specialist
河野 木綿子(こうの ゆうこ)

ロンドン大学 Goldsmiths College 2000年
心理学部 大学院卒業

テストの高得点者が話せるようになるお手伝いをしています。
25年間大手外資系企業の人事部に勤め、人材開発の専門家となる。その経験とロンドン大学大学院で学んだ学習理論と効果測定を活かし、日本で第1号となる仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業。
著名人含む約90名を、仕事の英語デビューに導いてきた実績を持つ。

【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.5 ※旧英連邦の英語4スキルテスト
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格

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