英語の敬語: 外国人上司へのお願いにPlease は使わない

この記事は英語は話せるけれど、外国人と実際に仕事をしたことがなくてやりとりに不安がある人のためのものです。

英語にも敬語的表現がある

「英語でのあいさつ」や「英語の自己紹介」についてのお問合せをときどきいただきます。

海外との繋がりがオンラインになって、組織変更や転職、転勤で初めて外国人と英語をつかって
仕事をするひとが多いのかもしれません。英語と言うとアメリカ映画を観ているときに、
お互いファーストネームで呼び合っていて、あったときの挨拶も

Hey, what’s up?

みたいにカジュアルなやりとりをするイメージがありますよね。
だから敬語なんてない。と思っていませんか?

いやいやあるんですよ。

英語で敬語的な表現を使う場面

では英語での敬語ってどんな時に必要なんでしょうか?
日本語の場合は年上の人、役職が自分より上の人、お取引先の人など、
上下関係、力関係がある場合、下の人が上の人に対して使います。

英語の場合、敬語的な話し方をする場面は2種類あります。

① 一つ目は「心の距離」がまだ近くない場合に使います。
例えば初めて言葉を交わすとき。だれかに初めて誰かにあったとき。

当然、初めは Last nameに Mr.やMs.(発音はミズ)とを付けて呼びます。
Mr. Johnson, Ms. Watson など

通常、First Name で呼び合うことの多い英語でのやり取りで
Mr.やMs.を付けて呼ぶのはFormalな場面での敬語にあたるでしょう。

 そして自己紹介をしたときに相手が

“My name is Robert Smith. Please just call me Robert.”
「私の名前はRobert Smithです。ただRobert と呼んでください」

と言ってくれたら、それ以降ぜひRobert と呼んでください。

せっかく呼び方をRobert と指定してくれたのに、その後もMr. SmithとかRobert-san と
呼び続けると「お堅い人」って思われそうです。

これは英文メールでも同じです。2回目以降のやり取りは、とくにアメリカやカナダの人の場合、
ずっとMr. やMs. で相手を呼んでいると

「この人は自分と親しくなりたくないのかな?」
「堅苦しい人だな」

と思われてしまいそうです。

② 敬語的な話し方をする場面の二つ目は「相手が上司や役員など、
相手が明らかに組織のヒエラルキーのなかで上の立場のとき」。
もちろん仕事でご一緒してFirst Name で呼び合えるかたもいるかもしれません。

とはいえ、特に何かお願い事をするときは心の距離を一歩置いて敬語表現に当たる
英語でお願いごとをします。

Please を付ければ失礼にならないは誤解

これはよくある大きな誤解です。目上の人に対するお願いに Please は使いません。Please は丁寧であっても、
強制力を感じさせる言葉です。
日本語に言い替えたら「やってくださいね!」のようなニュアンスがあります。

 日本語でも「~をお願いします」ときっぱり言わないのと同様、英語でも

「~していただけないでしょうか?」
「~していただけるとありがたいです」

にあたる表現があります。

これが使いこなせると例えば社長に対してでも、失礼を避けて、遠慮なくお願い事ができます。
ここでは2種類の上司や目上の人、まだ心の距離がある人に対する敬語表現を取上げます。

①「~していただけないでしょうか?」

I was wondering if you could speak more slowly.
「もっとゆっくり話していただけますでしょうか」

“I was wondering if you could speak with short sentences.”
「短いセンテンスで話していただけないでしょうか」 

コツは I was wondering if you could を一気にスラスラ口から出るようにしておくこと。

ただでさえ偉い方に微妙なお願いをするときは緊張して口もなかなか動かない。
であれば本番で言えるように120%できるくらい日ごろから口慣らしをしておきます。

例えば、今日は廊下を歩いているとき、外で信号待ちをしているとき、ずっと口を動かす練習をしよう。
と決めて実行してみてください。必ず口は動くようになります。

あともう一点、お気づきの方もいらっしゃると思いますが      

I was wondering if you could
と過去時制になっています。

英語は would とか could とか、今よりもひとつ前の時制の助動詞を使うと謙虚さがでたり
仮定の話になります。 

もう一つの敬語的な表現は、

「~していただけるとありがたいです」

I would appreciate it if you could~
もし、何々していただけるとありがたいです。

”I would appreciate it if you could send me the approval for contract renewal by the end of the day.”
もし、契約更新の承認を終業時間までに送っていただけるとありがたいです。

日本語でもこういう押しつけがましくならないような言い方をしますね。

ある大企業の外国人役員から直接聞いた話です。
オフィスに戻ったら机の上に契約書が置いてあって、ポストイットが貼ってあった。

“Please sign ASAP.”
なるはやでサインしてください。

 ASAP: As soon as possible できるだけはやく
その話をしながら役員、苦笑していました。私も笑ってしまいました。
ASAPは仲間内のメールや口頭では使いますが、上司やお取引先には使えません。

急ぐときは代わりに

at your earliest convenience.
一番早くご都合がいい時に

という言い方をします。

もしどうしても時間指定があったら文末に by 6:00pm と書いておき、理由が添えられたらいいですね。

Pleaseを使っても大丈夫な場面

では Pleaseを使わないのか?と思われる方もいらっしゃると思います。
はい、使うことは珍しくありません。

ただその際は 頭に Could you を付けて
Could you please finish the monthly report by Friday noon?

のようにすればソフトになります。

また、飲食店でサービスをしてくれる御給仕の方に何かを頼むときも
Please bring me a glass of water.

よりも
Could you please bring me a glass of water?

が相手に対するリスペクトが感じられます。
お金の対価としてサービスを受ける場合、お互いは対等な人間関係にあります。
「お客様は神様です」という感覚はありません。