my companyって言わない? 英語で「我が社」「私の会社」は何と言う?

英語で自社について話す機会がある方へのおすすめ記事です。「わが社」「当社」をmy companyとは言いません。正式な場ではそのつど会社名を呼びます。さらに会社員人生について私が考えることをお話します。

日本人同士でよくつかう「ウチの会社」という言葉

英語のビジネスコミュニケーションを教えるようになってまもなく10年になります。
それ以前は30年間会社勤めをして、途中人事の専門分野の勉強で海外の大学院に行きました。大手外資系での仕事は25年になります。
ビジネスコミュニケーションを教え始めてから日本人が自分の会社に対してどう感じているのか?が海外の人たちと違うと感じることのひとつに、日本人が使う

「ウチの会社」

という言葉があります。

英語で仕事をしている人達は自分が仕事をしている会社のことを
「ウチの会社」= my company
とは言いません。
とくに公の場では使いません。

もし言うとしたらそれは「自分が経営している会社」というイメージがあります。経営者の方と言うイメージがあります。

では英語で仕事をしている人達は自分の勤め先のことを何と呼ぶかと言うと、「会社名」三人称単数として言います。

自分とは切り離している感覚です。

たとえば私がかつていた、Pfizer の社員が英語で自社の話をするときは

Pfizer launched Covid-19 vaccine.
ファイザーはコロナのワクチンを上市した。

と、自分の所属している会社のことを自分とは切り離した感じで言うはずです。自分の勤務先を my company と言っているのを耳にすると、密かにヒヤっとしています。
というのもmy companyという表現が使われている場面の多くが潜在的顧客に自社サービスの導入提案をする重要なプレゼンテーションであることが多いからです。

日本語の「わが社」「当社」の感覚をそのまま英語に直訳して言ってしまうのかもしれません。

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自社をmy company と言ってしまう背景にあるのは終身雇用制度?

今でこそ終身雇用が減ってきましたが、かつて日本では新卒で入った会社で定年まで働く。周りにいる人もずっと一緒。序列ができるとそのまま上に上がっていくので家族のようにお互いよく知っている。

そうなると
会社=自分の人生、自分の居場所、所属先、さらには擬似家族。

だから自分の職業人生を安心して会社に任せてしまい、会社の判断に従って社内の複数の部署や職種を異動する日本的な雇用制度があったのかな?と感じています。

私が新卒で入った会社には人事部の中に「ローテーション」という部門があって、1年中社員の異動の仕事をしていました。多くの人が自分の専門分野を持つことがなく、会社からの辞令で職種や勤務地が変わることが当たり前でした。

今でこそジョブ型の人事制度という言葉が新聞やビジネス誌で取上げられるようになりましたが、私がいた外資系企業では一生経理、とか私のように30代から「人材開発」ときに「採用」しかやりたくない。と言う人が多かったです。たとえば私がいた製薬業界だと複数の会社を同じ職種で経験していて、その間に仕事のレベルが上がっていく。新しくだれかと出会うと、ほぼ確実に共通の知り合いがいるというのが当たり前でした。上を目指しながら同じ業界の同じ職種でぐるぐると螺旋階段を上っていくような人が多かったです。

自分の人生は自分で舵取りをする

40代半ば、当時仕事をしていた会社の人事部長から「個人の仕事の幅を広げるために部内の全員の担当職務を今と違う担当に変ってもらう」というお達しがでました。私自身は抵抗しました。
「人材開発が好きで会社を辞めて海外留学までして学んだのに、私の人生に手を出さないで欲しい」お~、よく言うた。私が部長ならムッとするかもしれないと今になって思います。でも必死でした。でも私だけ仕事を替わらないと「他の人に示しが付かない」というので、仕方なく人材開発の次に専門性の高い採用の仕事をしていた時期があります。海外の採用までさせてもらったので、それはそれで楽しかったです。

で、結局何が言いたいかと言うと元に戻って、「わが社」という言葉の直訳に当たる言葉は英語にはないということです。
my companyとは言わない。いくら自分の会社を誇りに思って、好きであっても自分とは切り離して考える。仕事を提供する見返りにお給料をもらう。そのためには常に勉強して専門性を磨く。会社と社員は対等な関係だと思います。自分にとってはジョブ型は当たり前でした。

ごく最近の新聞記事に「社会人になってから学ぶ機会を一番多くもつのが20代。そのあとはどんどん減っていく」という記事がありました。終身雇用の時代はそれでよかったと思いますが、これからジョブ型が普及して転職が当たり前になってくると「他社から欲しがられる」レベルの知識・スキル・専門性は常に身に付けておかないと仕事がなくなるかもしれません。

私の個人的な考えですが、20代のうちは自分は何が好きで嫌いか。何が得意で何が苦手か適性を探る。30代では専門性を高める。続く40代では中盤までどんどん新しいことに挑戦して会社の仕組みを変えるくらいの仕事をする。その後は後進を育てる。
というのが私が描く理想的な職業人生です。途中で学校にもどるのもありだと思いますし、自分はそうしました。

まとめ

自分の会社をを人に説明するときは「私の会社」「自社」「我が社」という日本語の感覚で、my company と英語で言うことはできないので、その都度会社名を言うようにしましょう

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自分自身は10年前に会社員生活を卒業して、もう働くのはおしまいかというと、まったく違いました。
50代前半で開業して、まだまだ進化中です。ホームページを運営し、メルマガを週に2回配信し、Twitter(X)で発信しつつ、YouTubeチャンネルも昨年秋から解説しました。

英語の講師ではなくて「英語のビジネスコミュニケーションをスキルとして伝える人」として日本のビジネスパーンを応援していきたいと思っています。好きな仕事ばかりやっているうちに、好きなことばかりに囲まれて仕事をするようになりました。毎日、朝起きるのが楽しいです。もちろん難問に眉をひそめる日や、眠れない夜もあります。

でも今日も挑戦するぞという気持でいられるのはありがたいことだと思っています。日々感謝。

【参考リンク】 YouTubeチャンネル 『英語コミュ力TV』

この記事を書いた人

仕事の英語パーソナルトレーナー
HR Specialist
河野 木綿子(こうの ゆうこ)

ロンドン大学 Goldsmiths College 2000年
心理学部 大学院卒業

テストの高得点者が話せるようになるお手伝いをしています。
25年間大手外資系企業の人事部に勤め、人材開発の専門家となる。その経験とロンドン大学大学院で学んだ学習理論と効果測定を活かし、日本で第1号となる仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業。
著名人含む約90名を、仕事の英語デビューに導いてきた実績を持つ。

【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.5 ※旧英連邦の英語4スキルテスト
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格

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