人材は終身雇用という慣習が続いた日本企業と、人材は流動的と考えている外資系企業では多くの違いがあります
外資系企業と日本企業の給与と採用制度は多くの点で違いがあります。
外資系企業の年収は日本企業より高い傾向がありますが、そのかわり日本企業ほど福利厚生が手厚くありません。
また採用も基礎的な教育が不要の即戦力として中途採用が中心です。
この記事では上記の年収、福利厚生、採用についてそれぞれの違いと転職される際の注意点を取り上げます。
外資系企業と日本企業の違い:年収と福利厚生
よく外資系企業はお給料がいいという話を聞きますが、概ねその傾向が見られます。
理由として日本企業では長年、終身雇用、生活全般を会社が補助するという考えに基づいて福利厚生が充実してきた歴史的背景があります。
住宅手当や寒冷地の薪炭手当、社員食堂での食事の供給、社外の提携サービスを家族も割引価格で利用できるなど、給与以外の生活補助がありました。
一方で外資系企業では人材は流動的で、仕事の能力、成果に見合った報酬を給料として支払うという考え方から、優秀な人材を採用するために給与水準が高く、福利厚生はその高い給与で各自が賄うという考え方です。
ただし例外的に世界的外資系企業の中には元々日本企業が外資系企業に買収されて日本に存続している場合は、日本企業の手厚い福利厚生制度の慣習が残っている企業も少なくありません。
外資系企業の年収はどのように決まるのか?
・オファー時
大まかですが、年収を決める指標があります。それは職種の職制ごとの
1.難易度
2.専門度
3.責任の範囲
の人口が少ないほど職制レベルも、それに対する報酬も高くなります。
ただし、中途採用の場合、現在の報酬よりオファー額のほうが少ないと入社を躊躇する場合があるので、少し上乗せする場合もあります。
ただし採用の予算が厳しい時は、それをハッキリ告げることもあります。
日本企業では給与は年功序列または在籍期間と連動しているところが多く、かつてはこれに男性の方が女性より多いという男女格差もありました。
対照的に外資系企業では「この職種のこのポジションの給与はいくら*」と目安があり、必要に応じて予算を計上して社外から即戦力となる人を中途採用します。
*大手外資系サーチファーム(転職支援業)では業界・国別の職種別給与水準を資料として顧客企業の人事部に配布します。
その際、競合他社との採用競争を有利に進めるためにも給与水準は高くなりがちです。
日本企業では部長職は40代後半以降になってからという傾向がありますが、外資系企業では30歳で事業部長ということも珍しくありません。
具体例として、日本企業の部長職は800万円前後から1500万円前後ですが、外資系企業では1000万円前後にプラスして、業績報酬(成績によって受け取る基本給以外の給与)を含めると上限がありません。2000万円、3000万円も可能です。
・オファー後(毎年の業績評価と報酬の増減)
「業績連動報酬」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
個人の業績と会社の業績によって、次の会計年度の報酬が増減します。
そのために毎会計年度、個人が年間の業績目標を立て、上司と合意して年度末には業績達成度合について評価を受けます。
その際に個人の年次目標は世界全体年次目標に沿ったものである必要があります。個人の目標達成は全社の目標達成に直結したものであり、通常は英語力などの自己啓発は評価に含めません。
個人レベルの業績達成を確かなものにするための会計年度の中間面接を実施して社員の働きを支援する制度がある企業もあります。
業績と基本給の昇給率の連動の仕方は、職種、職制レベルの基本給に対してその年の基本昇給率に対して、達成率がどれくらい多いか少ないかで次年度の昇給率または減収率が決まります。
また基本給だけでなく、賞与も業績によって支給額の増減があります。
したがって同じ職種、職務レベルで会っても業績評価によって報酬額は差が出てきます。
基本給と賞与では、会社にとってそれ以降に影響する固定費、基本給の方が業績結果との連動率は低く、1年で精算する賞与への反映率が大きくなります。
・評価を決める人事考課面接
業績評価でそれ以降の報酬が増減するので、人事考課のプロセスは厳格に実施する企業が多いです。その多くが以下の手順を踏みます。
達成率の提出
社員本人が、その年の目標に対しての達成率を自己評価して上司に提出する
上司と1対1の人事考課面接を実施する際に、部下は自己評価の根拠となるデータを提示する
上司は部下の評価をとりまとめ、自分の評価も加えたうえで事業部長に提出する
同一事業部内で全マネージャーが同席したうえで、各部門ごとに評価に甘辛がないか検討を行い、調整をした結果、最終評価が決まる
最終評価が社員本人に上司と1対1の面接でフィードバックされる
外資系企業と日本企業の違い:新卒採用と中途採用
外資系企業でも新卒採用がある理由
日本の組織が大きくない外資系企業(概ね1000人未満)は中途採用が中心です。日本組織がある程度大きく、経済的、人材的ゆとりがあると新卒採用をする傾向があります。その理由は、組織が小さい場合、新卒者に新卒研修をしたうえで数年かけて独り立ちさせるだけの時間が掛けられないということがあげられます。新卒新入社員を採用して、入社後にゼロから育てた場合に掛かる教育費用を回収するには約5年かかると言われています。
いっぽうで概ね1000人前後以上の外資系企業であれば、新卒採用と中途採用を併行して実施する企業が大半です。
新卒採用をする理由は 企業文化の分断を避ける、広い年齢層の人的資源を確保して社会情勢の変化に対応することが大きな要因です。また例えば営業職が大量に必要な業界(例えば製薬業界)の営業職等では、均一的な価値観や文化を共有している方が販売戦略を実行しやすくなるというメリットもあります。
外資系企業で中途採用者に求められること:早期に存在感を示す
外資系企業の採用が中途採用者中心であることは前出ですが、即戦力として会社があまり手を掛けなくても業績を上げることが求められます。
特に管理職の部長職以上の場合、入社後3カ月、遅くても半年以内に何らかの業績を上げて、上層部から認められなければ最悪の場合試用期間満了で退職ということもあります。
そのためにお勧めしたいのは、入社したと同時に社内のキーパーソンと個人的に話す機会を持つことです。ランチやミーティングでもいいでしょう。ネットワーキングを進めながら、企業文化や会社の方向性、課題を把握して自分のするべきことを提案し、実行に移していくことです。
私の個人的な体験ですが、人材開発の責任者として入社したある企業で社長に直接掛け合って予算をもらい、ひと月半で全国のキーパーソン80名と面談をして教育体系の提案をして喜ばれたことがあります。これが1年後には半年さかのぼっての1.5倍の昇給となりました。業績が昇給に直結したという一例です。
外資系企業では仕事が厳しいという印象を受けられたかと思いますが、給与制度に年齢・性別・社歴による差が無く、成果を上げただけ評価され、自分の夢が実現しやすい働き方と言ってもいいでしょう。
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この記事を書いた人
仕事の英語パーソナルトレーナー
河野 木綿子(こうの ゆうこ)
ロンドン大学 Goldsmiths College 2000年
心理学部 大学院卒業
東京都青梅市出身
スピーキング初心者歓迎!生徒さん募集中です。まずはご連絡ください。
TOEICテストでおおむね600点代~800点代で英語が話せない人が、英語で仕事ができるようになるお手伝いをしています。
ひとりでも多くの日本人ビジネスパーソンが英語でも日本語の時と同じように活躍できるようになって欲しいです。
25年間大手外資系企業の人事部に勤めた人材開発の専門家。その経験とロンドン大学大学院で学んだ学習理論と効果測定を活かし、日本で第1号となる仕事の英語パーソナルトレーナーを2014年に開業しました。
著名人含む約90名を、仕事の英語デビューに導いてきた実績があります。
【保有資格】
・ケンブリッジ英検
・IELTS 7.5 (1998)
・英国心理学協会の能力・適性テストの実施資格※
※企業で面接、適性検査、能力検査を実施する資格
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