はい、日本語の会議と会議のスタイル、目的、必ず発言することなどが違います
これから外資系企業で働くことを考えている方にはぜひお読み頂きたい内容です。
外資系企業と言っても、企業文化は様々でひとくくりには出来ません。資本は外資でも、伝統的文化が色濃い日本企業が外資に買収されて外資系になった場合は、日本企業の慣習がそのまま残っている場合もあります。
一方で日本企業でも業務プロセスに外資系企業の合理的なところを取り入れているところもあります。
この記事では、英語圏の文化が浸透して、日本人が大半で日本語で話す場合でも英語圏式の会議についてまとめます。
私自身が日本企業に合計6年、大手外資系企業に25年いた経験と、組織心理学の研究結果、さらに個人的な見解も含めてお伝えします。

1.会議のスタイル
表面的なことを見ていても会議室に入ると
座る場所
日本: 定例会議だと誰がどこに座るか決まっている
英語: それぞれその日によって好きなところに座る
司会者は
日本: 司会者という役割の人がいる
英語: その場で一番上位の人が司会する(役員会は社長がリード)
話し合いの展開は
日本: あらかじめ決められた議題について話す
英語: その場で議題が発展して決定にまで至ることがある
日本: 決定はしても、実行担当者、締切りを決めないことが多い
英語: 決定事項について実行担当者、方法、締切りを決める
そして、多くの違いは「会議の目的」が日本企業と違うことから起こります。
2.会議の目的
日本: ほぼ合意できていることの合意確認(形式的)
外資: 結論を出すための話し合いの場
このため、会議の出席者に違いがでてきます。
日本: 決定に関与しない人も関連組織に所属しているというだけで出席する
外資: 決定に関与する人、議題の担当者のみ出席する
日本の組織にいると「今日は二日酔いだ~。でも会議ばっかりだから、出てればいいから」なんて誰かが言うのを何度も聞いたことがあります。
でも外資系だと会議の目的自体が「結論を出すための話し合いの場」ということなので居眠りをする人はいません。
意見を言わないと「次回からでなくていい」とメンバーから外されることがあります。これは海外出張での会議も同様です。話し合いに参加せず、懇親会などで積極的に他のメンバーと交流しないと、先方からメンバーチェンジを要求されることもあります。
3.発言の積極性
日本: 自分から発言する人が少ない
外資: 指名されなくても意見、感想を言うのが当たり前
(必ずしも意見でなくてよい。経験、感想のシェアも歓迎される)
私自身が感じているのは、ワークショップがオンラインになったら「指名されたら発言する」、すなわち自分から発言しない傾向は益々強くなったような気がします。
発言の意志を表示するボタンを押すなど手間がかかるようになったことも原因のひとつでしょうか。
発言について外資が日本と大きく違うのは発言内容が必ずしも「意見」ではないという点です。
これをInput といって話題に関連のある自分の経験談や感想を言うことがあります。
会議の目的が「結論を出すこと」なので、その発言がだれかの思い付きにつながるかもしれないからです。
4.割り込みをするかどうか
日本: 人の発言を最後まで聞いてから発言する
外資: 他人の発言途中でも割って入る人がいる
日本人の多くは子供のころから「他人の話は最後まで聞きなさい」と家でも学校でも言われて育ちます。でも英語の会議だと途中で割って入るのはよくあります。
そんなとき発言者は
Let me finish.
最後まで話させて
とか
I’m speaking.
今、発言中です
といって話を取り戻そうとします。
以前、複数のイギリス人に「どうして他の人が発言中なのに、割って入るの?日本では子供のころから他人の話は最後まで聞きなさいと親に言われるのよ」とやや抗議めいて聞いたことがあります。そうしたらその答えは「私たちも子供のころ、そう言われて育ったけれど、大人になったら、それでは自分が意見を言うチャンスがないってわかったから仕事では敢えて割り込む」という答えが返ってきました。
5.発言のタイミング
日本: 会議中は黙っていて後で意見を言いに行く人がいる
外資: 会議中に発言する
会議中に言い出せなくてあとで司会者や上司に言いに行く人がいます。ただし残念ながら決定があとで覆ることはありません。
6.自分の意見の決め方
そして大きな違いが自分の意見をどうやって決めるかです。
日本: 役員、上司の発言を聞いてから自分の意見を決める
周囲の意見を聞くまでに、指名されて単独で意見を述べることをおそれます。
これは組織心理学の研究結果でも記述されています。
外資: 上下関係に関係なく率直に発言する(ただし決定権は上位者にある)
私が異文化コミュニケーションのワークショップをしたり、英語の個人指導をしていて経験して入りうことですが、日本人の大まかな傾向として学生時代は活発に意見交換をしていた人でも、社会人になると上下関係を気にして、上位者に合わせた発言するようになるようです。
上下関係のなかで上の人との対立を恐れる、自分だけ周囲から浮きたくないといった同調圧力が働くのかもしれませんね。
7.他人の意見に対する反応
他にもコンサルタント的立場で様々な企業の会議に同席させていただいて興味深いと思ったのが
日本: よい意見を出さないといけない、的を外すととがめられる、いじられる
英語: どんな意見も1度は受け留められる。ただしそれが採用されるとは限らない。
若い出席者が、一生懸命発言して内容が的外れだと、いわゆる「イジル」人が出てきて「もっとちゃんと勉強しろ」「だからお前はだめなんだ」って否定されることがありませんか?
でも日系・外資系関係なく風通しの良い組織だと役に立たない意見でも「お、それイイね。では次!」と、一旦受け止めたうえでスルーされたりして(笑
英語圏の文化で仕事をしている典型的な外資系企業だと、他人の意見が的を外れていたり、役に立たなくてもそれをとがめることなく、話しを進めます。役に立たない意見にプラス面を見つけて補うこともあれば、まるで聞かなかったかのようにスルーして、持論を話始めることもあります。他人の揚げ足取りなど、会議で結論を出すことに関係のない事にはエネルギーを使いません。
おおまかな違いは以上です。
まとめ
いろいろなことを一度にお伝えしました。一番大切なことは会議の目的を理解して、それに対して貢献することです。
会議の目的は話し合って結論を出すこと
従って、出席者は結論を出すことに全力で貢献する。このひと言に集約されます。
日本の会議だと、自分は出席して座っているだけでいい。極端な場合は居眠りをしても見逃されたりします。
一方で結論をだすための会議だと、出席メンバーは結論を出すために集められた担当者、専門家と決裁権限者だけです。居眠りをしている時間はありません。
したがって会議に出席を求められたら、自分が期待されている役割と会議に出る目的を自覚して準備万端の状態で出席します。
トップからも結論を出すための役割が期待されています。