日本に駐在する外国人上司の苦悩がわかると人間関係がよくなりパフォーマンスが上がる

上司が外国人になる!と聞くと「英語でやり取りしなければならなくなる」と動揺する人が居るかもしれません。でも不安や悩みを抱えるのは私達部下の側だけでなく、日本に赴任してくる外国人上司も同じです。

この記事では外国人上司のここを理解していると、あなたが上司からの信頼を得て、良好な人間関係を築き、仕事の成果が上がって評価も高くなるというポイントをお伝えします。

海外から日本はこう見えている

普段わたしたちが見ている世界地図。左にユーラシア大陸、右にアメリカ大陸があって、日本は中央の左寄りに太平洋を見渡す位置にありますね。でもヨーロッパやアメリカの地図はどういうレイアウトになっているでしょうか。特にヨーロッパの地図だと、日本は右上の端にある小さな唐辛子のような島国です。とてもそこに住んでいる人の姿を想像することはできません。

イメージも日本、韓国、中国の違いはあいまいで、どれも同じように見えます。東京も上海もよく似た近代都市。人々は今でも着物を着て、お箸を使って食事をしているといったレベルの認識しかないのが大方のイメージです。

東洋の島国についての不安と言葉の壁

そんな東洋の島国、日本に家族同伴でやって来ることになった外国人上司。事前に異文化間コミュニケーションのトレー達ング研修を受けたかもしれませんが、着いてみると空港を一歩出たとたん、駅や街の標記は日本語が多く文字が読めません。私たちがハングル文字、タイ文字だけの街に放り込まれることを想像してみると、その戸惑いが分かるかもしれません。

家族を守る

家族同伴で赴任してきた場合、もし男性であれば奥さんの居場所を確保する必要があります。家の中だけで孤立することなく、日本の何らかのコミュニティに参加できるように配慮します。東京ならアメリカンクラブに入るのも一つの手段で、参加費用も会社から補助を受けられます。ただし様々な国籍の会員が集うアメリカンクラブに馴染めない場合は、個人的にコミュニティを探したり、ボランティアグループに所属することもあるようです。

また子供がいる場合、通学の安全を確保をするためにスクールバスで通学できるインターナショナルスクールを探して通わせることになります。日本は世界の中で比較的、治安がよいのでこの点については心配は少ないでしょう。ただし、学校とその子の相性もありますので転校を考える場合は本国ほど選択肢は広くないことでしょう。

子育てについては、配偶者が不在の時は本人が一旦オフィスを離れて帰宅して食事の面倒をみることもあるようです。もちろんシッターさんを雇うという手段もあります。夫婦だけで手分けをしているケースでは夫婦平等に手分けをして世話をすることが多いようです。

法律・ビジネスの習慣の違い

仕事をする場合、その業界ならではの法律、習慣があります。例えば人事関連であれば、世界の他の国々の中ではかなりユニークな日本の労働基準法に従います。従業員の雇用を手厚く守る労働基準法に対して、本国からは人員削減の要請を受けることがままあります。
また新卒採用をする際に、全国一斉に採用活動が解禁になるほか、面接、内定のあと内定式で内定者を引き留める。入社式と一斉の新卒入社時研修があるなど、プロセスの各ステップに参加を求められます。

製薬業界の営業の役員であれば、日本のプロモーションコードに従う、薬価は国が主導で頻繁に引き下げられる、領域のKey Opinion Leader (KOL) に表敬訪問をするなど、自国とは違う仕組みの中で、自分が求められる役割を果たすことになります。
これらのすべてを日本語が堪能でない限り、部門のトップとしてだれかを頼って情報収集するという気苦労もあることでしょう。

短期間で成果を求められるプレッシャー 世界第3位の市場、日本

さてこのような困難を背負いながらも在任期間中の2,3年という短期間で本社の目に留まるレベルのビジネスの成果を上げなければなりません。というのも、多くの業界で日本は北米、中国に次ぐ重要なマーケットだからです。

目立った成果を上げることが出来なければ、任期満了で本国に戻った際に以前よりも上位のポジションを得ることは難しく成ります。極端な場合、ポジションがないということもあるようです。

部下とのコミュニケーションで行き違い

様々な制約、重圧の中で日々の部下たちとのコミュニケーションにも苦労があります。言葉の壁もありますがそれ以上に文化の違い、マネージメントスタイルの違いがあります。

部下たちは上司に対して控えめで、指示や決定を待つ傾向があります。自分から自発的に提案をしたり、反対意見をだすということに消極的です。「こちらの様子を見ていて、察して欲しい(空気を読む)」ことを期待しています。

一方、英語圏のマネージメントスタイルは、上司は部下からの意見や希望を引出し、目標達成のために手助けをするコーチング式がデフォルトです。部下を活用し、育て、成果を出すことが優秀な上司の典型です。

にもかかわらず、部下からすると「外国から来た上司をお使いだてするなんて、とんでもない」と思っていますから、手助けをするという上司からの申し出は固く断りますから、独力でできない仕事は滞ります。上司からすれば「手助けは要らないと断りながら、仕事が進んでいない。上司である自分は何をしたらいいのか?」と煩悶することになります。

これが積もり積もってプロジェクトが進まない、人間関係が悪化したという企業から相談を受けてコミュニケーショ改善のためのワークショップを実施したことがあります。

解決策:双方間の違いの理解と歩み寄り

この行き違いの解決のためには、外国人上司は日本人独自の行動、考え方を理解したうえで話を聞き、手助けを申し出ること。
一方で日本人部下たちは、外国人上司が抱えている言葉の壁、文化の壁、ビジネスのプレッシャーを理解し、世間話のなかで思いやりを示す。日常的なスモールトークの際に「ご家族はどうしてますか?」など声を掛けることも有効です。「近所にいい焼肉屋さんを見つけて、家族で行ってきた」などと、いろいろ話してくれるでしょう。

日本に居ながらにして、コーチング型の上司を活用する、自分たちの考え、能力とモチベーションを引出してもらい、目標を達成する仕事の仕方に歩み寄ることも、これからグローバル化が加速するビジネスでのご自分のキャリア開発にとってマイナスにはなりません。

ここまで読んでいただいて、外国人上司と協力してビジネスの成果を上げていくには、英語は必須ですが、英語力よりもさらに相互理解と協力であることに気づけば、私たち日本人ビジネスパーソンも諸外国と協力してビジネスを展開していくける可能性が広がることでしょう。